新型コロナウィルスの検査について
日本臨床微生物学会、日本感染症学会、日本環境感染学会の3学会は2020年5月25日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するPCR検査、抗原検査、抗体検査の特徴と使い分けに関する指針「新型コロナウイルス感染症に対する検査の考え方」を発表した。
PCR検査(遺伝子検査)
PCR検査とは
テレビのニュース等で最もよく耳にするのがPCR検査。日本疫学会のサイトには下記のように記されている。
新型コロナウイルス検査は、検査精度や効率性を考慮してreal time RT(reverse transcription)-PCR法という手法で行われることがほとんどです。PCRはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法です。詳しくは、大阪大学微生物研究所の説明を参照して下さい。
一般社団法人 日本疫学会HPより
PCR検査の正確さ
新型コロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていないとのこと。
正確さは検体採取の仕方、検体を採取する場所、時間とともに変化する検体採取する場所のウィルス量によりその結果は影響を受ける。
PCR検査の感度が最もよくなるのは症状発症前後とみられ、検査をするための条件がそろった場合においてもその感度は約80%程度であると考えられている。
抗原検査
抗原検査はPCR検査と比べ感度がやや劣るが、迅速性に優れ偽陽性が少ないという特徴がある。3学会からは抗原検査で陽性であればCOVID-19の確定診断が可能とする*アルゴリズムが示された。一方、抗原検査で陰性の場合でも感染を否定できないとした。
*アルゴリズム(英: algorithm [ˈælgəˌrɪðəm])とは、「計算可能」なことを計算する、形式的な(formalな)手続きのこと、あるいはそれを形式的に表現したもの。
Wikipedia引用
抗体検査
抗体検査については、特別な機器を必要とせず、イムノクロマト法により迅速にIgM抗体またはIgG抗体を検出し、陽性・陰性を判定する定性検査キットが既に複数存在するが、指針では有用性に関して現在検討中としている。
日経メディカルより
健常人を対象としたサーベイランスとして、感染の既往の疫学調査を行う場合には抗体検査が有用であるとしている。
抗体の有無は過去に新型コロナウィルスに感染していたか否かを調べるものでしかない。
抗体のない人はいつでも新型コロナウィルスに感染しうる。
抗体があっても再び新型コロナウィルスに感染する可能性は否定できない。新型コロナウィルスについてはまだわかならいことが多いからだ。
微陽性とは
プロ野球の読売巨人軍が選手、監督、コーチ、スタッフに対し抗体検査を実施したところ、選手やスタッフ4人に感染後に回復したことを示す抗体が確認されたと発表した。抗体が確認された4人にさらにPCR検査を実施したところ、坂本選手、大城選手について陽性の判定が出た。新型コロナウィルスの遺伝子の量が微量であったことから球団はこの2人を「微陽性」であると発表した。専門家によると「微陽性」という言葉は一般的ではないが、2選手は無症状であったかすでに回復している為、こうした発表となったようである。
2020年6月8日、日本野球機構(NPB)とJリーグの第9階「新型コロナウィルス対策連絡会議」(Web会議システム)が実施された。終了後のオンライン記者会見で座長の東北医科薬科大・賀来特任教授が巨人の坂本選手、大城選手の新型コロナウィルス陽性を発表した際に使われた「微陽性」という表記について医学的な用語ではないと説明した。さらに、「陽性とお聞きして確認させてもらったところ、ウィルスの遺伝子量が微量だった。口頭で『微量、微陽性というようなことですかね』と話したのがリリースに載ってしまった。巨人さんが使ったのではなく、私の会話の中で出てきたもの。今後使うことはない」とした。
引き続き体調に留意し、再陽性や他の選手、監督、コーチへの感染に留意しつつ、プロ野球の再開を楽しみにしたい。
接触確認アプリ「COCOA」を活用しよう!
厚生労働省が接触確認アプリをリリースした。
自分が感染者と接触した可能性があるかを確認できる
ワイヤレスイヤホンと同じBluetooth(近接通信)機能を利用し、スマートフォン同士が一定距離(1メートル以内)に一定時間(15分)以上近接したかを記録するだけのもの。
自分の個人情報や行動履歴が国に伝わることはない。自分が感染者と接触があったのかを教えてくれる。また、感染者が誰であったか特定されることもありません。
自分を守るため、大切な人を守るため、みんなで「COCOA」を利用することが一人ひとりの感染予防に役立つとともに、感染者の早期発見につながり、感染拡大の防止に寄与します。
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